9月23日(土)より全国公開される映画「ユリゴコロ」。
原作は、2012年に大藪春彦賞を受賞、本屋大賞にもノミネートされた沼田まほかるさんのベストセラー小説。主演の吉高由里子さんはじめ、松坂桃李さん、松山ケンイチさんといった豪華俳優陣が出演することでも話題となっています。
原作者・沼田まほかるが語る「ユリゴコロ」とは
『ユリゴコロ』の主人公は、“心の拠りどころ”が生まれながらに“人間の死”であった女、美紗子。殺人という行為から逃れることができず、それゆえ強いられる悲しみの連鎖の中で、愛という感情を知り、苦悩します。
そんな主人公のキャラクターづくりについて、原作者の沼田まほかるさんは、小説発売時に次のように語っています。
もちろん特殊な人たちではありますけど、それは肉体的な障害や成長環境によってそうなったのであって、必ずしも本人が邪悪だからではない。つまり、自分や自分の身近な人がそうだったとしても、おかしくないわけです。
(「ダ・ヴィンチ」2011年4月号/取材・門賀美央子)
今の世の中って、便利になったがゆえに、かえって本当の人間同士の結びつきが薄くなったと思うんです。
たとえば旅に徒歩という手段しかなかった時代には、江戸と大坂に離れるだけでも二度と会えないかもしれない可能性があった。だから、一緒にいる時間は今以上に大切だっただろうし、別れも死ぬほど辛かったでしょう。でも、今は『大阪についたらメールするね~』で終わってしまう。これじゃあ別れが別れにならないし、その分会っている時間も濃密なはずがありません。
そんな時代に、本当の出会いに気づけるのは、むしろ簡単に人間関係を結べないタイプの人なんじゃないかと思うんですよ。そんな人がたまたま一生に一度の出会いをしたら、それは別れと死を含んだ激しい生命の煌めきになるんじゃないか、って。
(同上)
沼田まほかるさんは、2005年に発売された『九月が永遠に続けば』でデビュー。その後『彼女がその名を知らない鳥たち』『猫鳴り』『アミダサマ』などミステリー小説を中心に数々のヒット作を生み出してきました。
今回実写映画化される『ユリゴコロ』は、2011年3月に刊行された作品。発売されるや“まほかるブーム”を巻き起こし、2017年5月までに累計27万部を達成しています。
作品に込められた著者の思いが、どのように映像化されるのかにも注目です。
「ユリゴコロ」の魅力を語る書店員の声、続々!
実写映画の公開を控えた今、“本のプロフェッショナル”である全国の書店員からも、続々と期待のコメントが集まっています。
以前読んでいた時の記憶が“怖かった”だったが、今回読み返してみて、恐怖が感動に変わる奇跡の瞬間に再び立ち会えた。(芳林堂書店東長崎店 飯田和之)
ユリゴコロがどう解釈されどう表現されているのか。センセーショナルな描写の殺と愛がどう表現されているのか。劇場へと逸る気持ちが抑えられない。(明林堂書店高城店 多田由美子)
ひとの業は紙一重。ゾッとしながらも、彼女を抱きしめたくなった。重苦しさの中の仄かな光が映像化することを、待ち遠しく思う。(ジュンク堂書店池袋本店 福岡沙織)
一方、SNSでも「キャストをイメージしながら読んだけどぴったりだった。映画楽しみだなぁ」「読了。あの描写たちはどんな風な映像になるのか、公開が物凄ぉぉぉぉく楽しみ(n´v`n)」など、原作読者の期待が高まっています。
映画「ユリゴコロ」は9月23日(土)公開です。
- ユリゴコロ
- 著者:沼田まほかる
- 発売日:2014年01月
- 発行所:双葉社
- 価格:689円(税込)
- ISBNコード:9784575516425
『彼女がその名を知らない鳥たち』は蒼井優、阿部サダヲのダブル主演で、2017年10月公開
また2017年10月には、『彼女がその名を知らない鳥たち』が、蒼井優、阿部サダヲのダブル主演で映画化されることが決定。“不快度100%の、まぎれもない愛の物語”が、豪華俳優陣によって映像化されます。今後も“沼田まほかる”作品から目が離せません。
- 彼女がその名を知らない鳥たち
- 著者:沼田まほかる
- 発売日:2009年10月
- 発行所:幻冬舎
- 価格:741円(税込)
- ISBNコード:9784344413788