昨年大ブレイクした『キングダム』や大河ドラマが好調の「真田丸」をはじめ、『三国志』や『国盗り物語』など、歴史ものはいつの時代も多くのファンを生み、愛され続けています。
歴史ものの漫画や小説は人間ドラマがストーリーの主軸となることも多いですが、実際の政治・軍事・経済は地理的環境が大きく影響しています。逆にいうと地理的な知識を持っていれば、同じ本を読んでもストーリーの厚みが増すのです。
そんなわけで今回は、「地政学」がテーマの本をご紹介します。「中学・高校の授業では教わらないし、『地理』と『政治』って何だか難しそう……」と思っている方も、歴史好きであれば知っておいて絶対に損はありません!
1冊目:『世界史で学べ!地政学』
まずご紹介するのはこちらの一冊。
- 世界史で学べ!地政学
- 著者:茂木誠
- 発売日:2015年06月
- 発行所:祥伝社
- 価格:1,728円(税込)
- ISBNコード:9784396615277
著者は茂木誠さん。さすが予備校講師が書いただけあって、世界史と地政学の関係について分かりやすく説明されています。
この本によれば、国際政治は「ランドパワー(大陸国家)」と「シーパワー(海洋国家)」とのせめぎ合い。例えば北国のロシアが、凍らない温暖な港を求めて西や南に行こうとする力が「ランドパワー」。それに対抗するのが大西洋に面した西ヨーロッパや、大西洋と太平洋に挟まれたアメリカを中心とする「シーパワー」です。
そして「ランドパワー」と「シーパワー」に挟まれているのが、中東や中央アジア。この地域で今も紛争が続くのは、地政学的に「ランドパワー」と「シーパワー」がぶつかり合う場所だからなのです。
2冊目:『地政学入門』
続いて紹介する『地政学入門』では、地政学がもう少し詳しく説明されています。20年以上前に出版された本ですが、地形や人口の分布は大きく変動していないので現在でも十分に通用します。本書によると地政学とは「さまざまな地理的要因の組み合わせを、極度に簡略に図式化してみせ、単純明快な戦略の指針として提示すること」だそうです(P.162より)。
- 地政学入門
- 著者:曽村保信
- 発売日:1984年03月
- 発行所:中央公論新社
- 価格:756円(税込)
- ISBNコード:9784121007216
『キングダム』でも軍師たちが、大きく広げた地図の上に城や軍勢に見立てた駒を動かして議論していますよね。天下の大将軍たちは地政学的な観点に基づいて戦略を決め、兵を率いる隊長たちに指示を出していたのです。
3冊目:『地政学リスク講座2016 日本でテロが起きる日』
続いて「地政学」とタイトルのつく書籍で紹介するのが佐藤優氏の『地政学リスク講座2016 日本でテロが起きる日』です。
- 佐藤優の地政学リスク講座2016日本でテロが起きる日
- 著者:佐藤優
- 発売日:2015年12月
- 発行所:時事通信出版局
- 価格:1,404円(税込)
- ISBNコード:9784788714434
本書ではイスラム国の台頭とロシアの新帝国主義について、多くのページが割かれています。ここでもやはり話題は中東とロシア。「グローバル化が進んだ今、『ハートランド』の地政学的なリスクが日本にも飛び火する可能性がある」と本書は警鐘を鳴らしています。
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いかがでしたか? 歴史本を読むときも、少しでもその時代の地政学的状態を頭に思い描くことができれば、よりエキサイティングな読書体験ができること間違いなしです。また地政学を知ることで、普段触れる国際社会のニュースも深く読み解くことができそうです。
歴史を楽しむ“スパイス”として、地政学に触れてみてはいかがでしょうか?