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Channel: ほんのひきだし
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夢眠書店開店日記 第16話:ねむちゃん、本の装幀に挑戦!④

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夢眠書店開店日記 第16話「ねむちゃん、本の装幀に挑戦!」では、2017年11月に発売された『本の本―夢眠書店、はじめます―』のデザインに、著者のねむちゃん自身が挑戦しています。

前回は2種類の紙でできた「束見本」(※クラフト・エヴィング商會さんを取材した回で登場しましたね)からどちらを採用するかを選んだり、カバーデザインに使う「たぬきゅんスタンプ」を実際にたくさん押して、どの印影を使うかを吟味したりしました。

今回はいよいよ、装幀部の現場でカバーデザインを組んでいきます!

〉これまでのお話を見る

本の本
著者:夢眠ねむ
発売日:2017年11月
発行所:新潮社
価格:1,620円(税込)
ISBNコード:9784103513810

 

今回の対談相手

(写真左)新潮社 装幀部 二宮由希子
1964年生まれ。芸術新潮編集部を経て装幀部へ。イラストレーションやデザインが好きで、会社勤めのかたわらセツ・モードセミナーやパレットクラブスクール、鳥海修氏の文字塾に学んだ。

(写真右)新潮社 装幀部部長 黒田貴
1964年生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業(ねむちゃんの先輩!)。東京書籍を経て、1995年より新潮社装幀部に勤務。

〈こちらの方にもご協力いただきました〉
新潮社 新潮文庫編集部 小川寛太
1987年生まれ。営業部を経て、文庫編集部へ。『本の本―夢眠書店、はじめます―』の編集を担当した。

 

いよいよ『本の本―夢眠書店、はじめます―』のカバーデザインに挑戦!

夢眠:お邪魔しまーす!

二宮:どうぞどうぞ。ではさっそく、スキャンしたハンコの印影と、ねむさんに描いてきていただいた題字と著者名を取り込みましょう。取り込みが終わったら、こちらのパソコンで作業します。

夢眠:(キーボードを触りながら)私がもしキャリアウーマンだったら、こんな感じでオフィスで働いてたのかなあ~……。

新潮社校閲部の回でお世話になった田中さん、湯浅さんが通りかかる)

夢眠:あ! 田中さん、湯浅さん! またお世話になってます!!

田中:聞いてますよ~。『本の本』、楽しみです。

夢眠:ふふふ、お二人ともばっちり本に載ってますよ。湯浅さん、校閲お願いしますね!

湯浅:ちなみに今は何やってるんですか?

夢眠:本のカバーを作ってます! 今、題字とかを取り込んでるところなんです。

湯浅:ねむさんが装幀をなさるんですね。楽しみにしてます、頑張ってくださいね。

二宮:それではねむさん、いよいよカバーデザインに取りかかりましょう。取り込んだファイルを開いて……おー! 題字のレタリング、きれいに書いてある! 上手!

黒田:題字は、もう少し小さく書いたほうがよかったかな。実際の大きさよりもかなり大きく書いてるので、縮小すると手書きに見えないかもしれない。

夢眠:iPad持ってきてるので書き直しますよ! ちょっと待っててください。

夢眠:できました! こんな感じでどうですか?

黒田:いいですね、素晴らしいです。ありがとうございます。

夢眠:イワタ明朝体オールドをお手本にして書きました。

 

“ガサリ”と“ヌルリ”

黒田:ではこの題字を配置して、ハンコのデータを調整しましょう。フィルター効果をかけて色調を調整すると、よりハンコらしい仕上がりになるんです。もとのスキャンデータがありますよね、それをこうすると……

夢眠:“ヌルリ”としてたのが、“ガサリ”になった。もうちょっとガサガサにしたいな……。こうかな。(カチカチ)

黒田:うんうん、いいですね。こんな感じで、納得いくものになるように調整していきます。

夢眠:なんか授業みたい!(笑) 美大でもこういう授業あったなあ。

(黒田部長に教えてもらいながら、黙々と作業。)

二宮:ひと通り作業が終わって、題字、サブタイトル、著者名、ハンコがすべて配置されましたね。どうですか?

黒田:題字、サブタイトル、著者名が全部手書き文字なんだけど、どれか一つをフォントに変えたほうがよさそうだな。

夢眠:サブタイトルの「夢眠書店、はじめます」と著者名の「夢眠ねむ」が上下に並んでるから、“夢眠”のところが重いですよね。タイトルは手書き、サブタイトルはフォント、著者名は手書きにしましょう。

二宮:うん、バランスが良くなりましたね。

夢眠:あと、たぬきゅんのハンコをちょっと斜めにしたいです。今はまっすぐ押されてるけど、こう、外側に……

二宮:あー、いいですね! 実際に本に押したような感じになってかわいいです。ではこれをプリントアウトして、束見本に巻いてみましょう。


Illustratorを使って、これまでに用意した素材でデザインを組んでいくねむちゃん。中でも、途中でやり直した題字のレタリングがとても早くて、編集部も装幀部の皆さんも「さすが美大出身……!」と舌を巻きました。

今回画面でデザインを組んでいる時も、「頭でイメージしていたのと実際に見るのはやっぱり違うなあ」と話しながら作業を進めていたのですが、次回は一度紙にプリントアウトして、前回選んだ束見本に巻いてみます。

どんどん“もの”に近づいていく『本の本―夢眠書店、はじめます―』。次回はどんなことが起こるのでしょうか? お楽しみに!





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