“絶海の孤島”沖縄・南大東島に本を届ける本屋さん
「書店ゼロの自治体が増加している」ということが昨今話題になっていますが、沖縄県には書店のない離島が多く存在します。
沖縄本島から東へ約360km、約1,300人が暮らす南大東島もその一つ。
しかし南大東島には春と秋の年2回、沖縄本島から約5,000冊の本・雑誌を持って〈出張本屋さん〉がやってくるといいます。
15年間続く、年2回の大規模な移動書店
この「南大東島ブックフェア」を主催しているのは、那覇市にあるリブロ リウボウブックセンター店(以下、リウボウブックセンター)。
2003年から15年間、現地の教育委員会の協力を得て毎年開催しているのだそうです。
今年は1回目の“出張”が4月14日(土)・15日(日)に行なわれるということで、その舞台裏に密着させていただきました!
開催9日前(4月5日)
約5,000冊の本は、箱数にして約70箱。まずは店頭から那覇の港まで、これらをピストン輸送で運びます。
本のラインアップは、子どもたちが喜ぶ児童書やコミックが多め。箱が到着したらコンテナに積み込んで、その後15時間かけて南大東島へ運ばれます。
ちなみに南大東島は、“接岸できない港”でも知られています。
高波を避けるため海抜10メートル以上のところに港が設けられており、船が接岸できないため、荷物だけでなく人もゴンドラをクレーンで吊って積み下ろしするのだそうです。
ブックフェア当日(4月14日)
今回の会場は、南大東村の多目的センター。開場は13:00です。
リウボウブックセンターのスタッフが、開場に間に合うよう急ピッチで本を陳列していきます。
いよいよ開場!
広々とした会場に、ていねいに並べられた本たち。
開場と同時に、図書カードを握りしめた子どもたちが場内に集まってきました。
実は南大東島では、地域の⾏事に参加すると図書カードがもらえるため、子どもたちはそれをブックフェアのために貯めているのだそうです。
2日で連続で遊びにくる子どもや、家族揃って来場して10冊以上買っていく姿も。「秋も楽しみにしているよ」という声も多く聞かれ、この〈出張本屋さん〉が島民たちにとって、なくてはならない存在であることが感じられます。
ちなみにリウボウブックセンターは、同じく“書店のない離島”である北大東島にも出張販売を行なっているのだそう。
北大東島へは年に一度、6月に〈出張本屋さん〉として訪れています。
北大東島の人口は700人ほど。こちらも出張販売を楽しみにしている島民たちで終日賑わうそうです。
今年は6月下旬に出張予定。また南大東島での秋のブックフェアは、11月下旬に予定されています。