『はじめての人のための3000円投資生活』がベストセラーとなっている家計再生コンサルタントの横山光昭さんが、5月に上梓した『めざせ1000万円!20代からの貯金と投資の鉄則』。
20~30代の若手ビジネスマンのために書かれた貯蓄本ということで、20代後半のほんのひきだし編集部員が、今の世代だからこそ知っておくべき〈お金の使い方と貯め方〉について、横山さん本人にお話を聞きました!
※今回お送りするのはインタビューの後編です(前編はこちら)。
家賃は「手取りの1/4」が目安
――ちなみに家賃は固定費のなかでもかなりの割合を占めているわけですが、目安はありますか?
私は基準として「手取り額の1/4」を提案しています。額面で見るか手取りで見るか、アドバイスする方によっていろいろですが……。
――「家賃は月収の1/3が目安」が常識なのかなと思っていました。
お客様の過去のデータから、貯められている方は、住居費を1/4程度におさめているということがわかったんです。
もちろん日本全国一律の基準で考えることはできませんが、傾向として、住居費にあまりお金をかけていない人たちが貯められているということは確かです。
――手取り18万円だとすると4.5万円ですか。都内だと厳しいなあ……。
住居費以外もそうですが、「4.5万円じゃなきゃいけない」ということはないんですよ。
相談にいらっしゃるお客様にも「絶対そのとおりにしなきゃ」って気負っている方は多いですが、料理と同じで、レシピどおりにやらなくても、感覚がわかっていればおいしく作ることができるんです。
お金の使い方もそうですが、貯金についても「1年でいくら貯めよう」「1か月単位で黒字にしていこう」という考え方でもいいんです。「こうやったら、これくらい余剰が出そうだな」と意識することが最初のステップ。まずはやってみて、厳しいようであれば調整しながら続けてみてください。
今は「10年間で1000万円なんて……」と思っていても、ある程度ペースがつかめたら次の目標がちゃんと見えてきますよ。
基本さえわかれば怖くない! “貯金の延長”としての投資とは?
――ここで最初の「単純にお金を貯めるためのノウハウを書いた本ではない」というところに立ち返るんですが、本には“投資”についてのアドバイスも収録されていますよね。
僕の考え方は、使うべきところは使って、“使わないお金”を未来の自分へ送っていくというものです。でも今の時代は、単に節約・やりくりするだけでは限界がある。社会全体を見ても、人口は減っていきますし、社会保障への不安もどんどん大きくなっています。
となると、自分にできることはなんだろうと。「銀行にお金を置いておけば100万円が200万円になる」なんて時代はもう終わっているわけなので、節約・やりくりをベースにして、貯金の延長線上としての投資をする。それくらいのリスクは取るべきなんじゃないかなと思います。
投資とひと口に言っても、仮想通貨、FX、不動産、金(きん)などいろいろありますが、僕がおすすめしているのは、時間を味方につけて、少額でコツコツ取り組む方法です。そのほうがリスクも負担も少ないですからね。そう考えたときも、若い今のうちから取り組むのがおすすめです。
――「投資」という言葉を聞いただけで耳が閉じそうになるんですが……(笑)。
投資に対して「まとまった元手が必要なんじゃないか」「失敗すると大損するんじゃないか」っていうイメージを持っている方は多いですよね。
また、貯金に対する意欲は高くても、投資についての知識がない若い人も多いです。「難しくて自分には理解できないんじゃないか」っていう声がそれですね。でも何もしないうちから「どうせうまくいかない」と選択肢から外してしまうのはもったいないです。自分に合う投資の方法がきっとあるはずなので、今のうちに食わず嫌いせずに、一度じっくり考えてみるといいと思います。この本でも、できるだけわかりやすく、若い世代の生活にあわせて説明しています。
――ちなみに横山さんのところに相談に来られる方って、若い方も多いんですか?
30代、40代、50代、20代、60代の順に多いです。
若い世代は「このままではいけない」「お金を貯めたい」という動機の方が多いですね。きっかけは本当に日常のささいなことで、たとえば、実家に帰ったらお兄さんが家を買うと言い出したとか。「やべー、兄貴、意外と貯めてたんだなあ」っていうところから将来への不安が濃くなって、行動に移そうということで相談にいらっしゃいます。
――こういうふうにお金のことを相談できる相手って、周りになかなかいないですしね……。私の場合は両親とも離れて暮らしてますし、上司や同僚、友人と話すのは気が引けますし。かといって金融会社の営業マンは、専門的な知識はあるかもしれないけど“営業”が目的ですから。
そうですよね。私の場合は、母の「生きた金を使え」という口癖がずっと頭に残っていて、いろんな経験を経てそれが指針の一つになりました。あまり具体的に「今いくら貯金があって……」みたいな話はしなくてもいいので、価値観のしっかりした目上の人の話はぜひ一度聞いてみてください。
あとはパートナーがいるなら、しっかり話して価値観をすり合わせておくことをおすすめします。そのためにも、まず自分はどう考えるのかをきちんと持っておくことが大切です。
先ほど「投資の話は難しくて苦手だ」という話がありましたが、投資に関しては、ベースさえ押さえておけば考え方の面では大丈夫です。数字にすごくくわしくなきゃいけないということもない。
食わず嫌いせずに基本を押さえて、そのうえで自分が理解できることだけをする、わからないことには手を出さないということが重要です。「あの人がいいって言ってたから」というのではなくて、どこに照準を当ててお金を増やしていきたいか、どのくらいのリスクなら取れるのかということを考えて、理解していることから始めましょう。
そういうところも含めて、私は負担もリスクも少なく、大失敗することもない「長期分散型の積み立て」をおすすめしています。
――最後になりますが、『めざせ1000万円!20代からの貯金と投資の鉄則』の読み方と、副読本として役立つ本を教えてください。
この本では4つのステップにわけて、ステップごとに10の鉄則をまとめています。ステップの順番は必ず守っていただきたいですが、鉄則については「4つ目の鉄則でつまづいたから先に進めない」ということはなくて、できそうなことから取り組んでOKです。
『めざせ1000万円!20代からの貯金と投資の鉄則』を読み終えて、投資をもうちょっとしっかり始めたいなと思った方には『はじめての人のための3000円投資生活』がおすすめです。
またマインドという面で、あと何冊か読んでしっかり定着させたいということでしたら『節約の9割は逆効果』か『神さまが教えてくれたお金の話』がおすすめ。『神さまが教えてくれたお金の話』はライトノベル風に書いているので、ストーリーでするする読めると思います。
――本日はありがとうございました!
- めざせ1000万円!20代からの貯金と投資の鉄則
- 著者:横山光昭
- 発売日:2018年05月
- 発行所:小学館
- 価格:1,188円(税込)
- ISBNコード:9784093886024
- 節約の9割は逆効果
- 著者:横山光昭
- 発売日:2017年01月
- 発行所:朝日新聞出版
- 価格:1,296円(税込)
- ISBNコード:9784022514462
- 神さまが教えてくれたお金の話
- 著者:横山光昭
- 発売日:2016年03月
- 発行所:宝島社
- 価格:1,296円(税込)
- ISBNコード:9784800249487
横山光昭(よこやま・みつあき)
株式会社マイエフピー代表取締役。これまで1万人以上の赤字会計を再生させた実績を持つ庶民派ファイナンシャルプランナー。“未来のおかね”を学べるお店「mirai talk」の共同代表も務める。
著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』『はじめての人のための3000円投資生活』など。5月に、若手ビジネスマン向けの最新刊『めざせ1000万円!20代からの貯金と投資の鉄則』を上梓した。