漫画の話がしたくなる! 1万冊が並ぶカルチャーの新たな発信基地「バックヤード」を覗いてみよう
10月5日(金)東京・原宿に、「バックヤード」と名付けられた“漫画×ファッションカルチャーの発信基地”がオープンしました。
バックヤードは、同日にオープンしたアパレル複合型ショップ「ベースヤードトーキョー」内のショップ。建物の2階奥に位置し、約1万冊におよぶ漫画を独自の切り口で提案しています。
今回はまだオープンしたてのバックヤードを取材し、店内の雰囲気や、“独自の切り口”とはどんなものなのかを紹介します。
明治神宮前(原宿)駅から徒歩2分
まずはベースヤードトーキョーの外観から。
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日が落ちると、こんなふうにサインがライトアップされます。
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冒頭で紹介したとおり、ベースヤードトーキョーは2階建て。
1階に「CIAOPANIC」「CIAO PANIC COUNTRY MALL」、2階に「Kastane」「mystic」「WHO’S WHO gallery」と「バックヤード」が入っていて、フロアは別れていますが、各ショップを自由に出入りできるシームレスな売り場が特徴です。
バックヤードへ行くには、入って左側の階段をのぼります。
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そのままずんずん進んでいくと……
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ありました!
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「MANGA&SPACE」とあるように、ただ漫画を選んで買うだけでなく、ドリンクを買って、自由に座って、気になる漫画をパラパラ読む “スペース” としての性格ももっているとのこと。
入口の柱には、こんなメッセージが書かれていました。
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BACKYARDへようこそ。
ここにあるのは、誰もが一度は読んだことのあるマンガ。
首を長くして発売日を待ったり
ともだちと回し読みしたり
背伸びしてこっそり読んだり
マンガがぼくらをつないできた。
ここにあるマンガを読んで欲しい。
あのころ読んでいたマンガを
あのころ読まなかったマンガを
読んで誰かとつながって欲しい!
ここはマンガで人とつながる場。
BACKYARD(裏庭)でパーティーするみたいに、
マンガを読んで、買って、
誰かとマンガの話をしよう!
ちなみに正面の大きな本棚には、「東京」をキーワードにもつさまざまな漫画が並んでいます。
渋谷、新宿、赤羽、調布……。“東京”というと都会的なイメージを思い浮かべるかもしれませんが、それはほんの一面にすぎないと思わされる個性豊かなラインアップです。
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それではいよいよ中へ。
全体を見る前に、まずは現在の目玉企画だという「クールなMANGA展」をチェックします。
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誰もが知るあの漫画の魅力を、3つのキーワードで掘り下げる
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先ほど「東京のMANGA」のコーナーがありましたが、「クールなMANGA展」の軸にあるのは、同じく東京を舞台にした大友克洋さんによるSFコミックの傑作『AKIRA』。
展示では『AKIRA』の魅力を〈アーキテクチャ〉〈フューチャー〉〈バッドキッズ〉の3つに分解し、それぞれをテーマにした漫画たちを通して作品世界を掘り下げていきます。
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たとえば〈アーキテクチャ〉では弐瓶勉さんの『ABARA』や『香港ルーフトップ』など、大友克洋作品の描写のなかでも際立って強い印象を残す“建築の描写の魅力”を、より深く楽しむための本・漫画がセレクトされています。
- ABARA
新装版
- 著者:弐瓶勉
- 発売日:2015年08月
- 発行所:講談社
- 価格:1,944円(税込)
- ISBNコード:9784063773194
- 香港ルーフトップ
- 著者:ルフィナ・ウー ステファン・カナム Glova
- 発売日:2014年04月
- 発行所:パルコ出版
- 価格:3,024円(税込)
- ISBNコード:9784865060676
「漫画の魅力を因数分解し、そこからさらに漫画の世界を広げていく」という体験は、初めてという人も多いのではないでしょうか。
これがバックヤードの提案する“独自の切り口”の1つめ。
ちなみに「クールなMANGA展」は11月4日(日)まで。次回は「ファッションとMANGA展」が予定されているそうです。
ジャンルごちゃ混ぜ! “シンプルなルール”に従った陳列で、思わぬ漫画と出合う
続いては、この「クールなMANGA展」をぐるっと囲む本棚を見ていきます。
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冒頭で紹介したとおり、店内の漫画は約1万冊。
本屋さんでは通常「新刊」「話題作」「少年向け」といったふうにジャンル分けされ、それぞれのコーナーで出版社ごとに漫画が並んでいると思うのですが、バックヤードではちょっと変わった方法で漫画が分類されています。
これが“独自の切り口”の2つめ。
バックヤードでは、刊行時期・ジャンル問わずすべての漫画が「クラシック」「レジェンド」「現在進行系」に分類され、タイトル五十音順で陳列されています。
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これによってどんなことが起きるかというと、
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少女漫画『執事たちの沈黙』の隣に『疾風伝説 特攻の拓』、その隣に大橋裕之さんの『シティライツ』、その隣にあらゐけいいちさんの『CITY』、その隣にパニックホラー『渋谷金魚』……という、なかなか見ない並びができあがるのです。
両津勘吉の隣に『ここはグリーン・ウッド』があったりもします。
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普段読まないジャンルの漫画に出合えるだけでなく、友だちや恋人と行けば、一緒に棚を眺めながらお互いの読書遍歴や漫画談義で盛り上がりそう。
異なる読者層が同じ空間のなかでシームレスに行き交うというのも、この陳列の狙いです。
「マンガ論」の棚もあるので、漫画カルチャーそのものに興味を持った方はぜひ覗いてみてください。
掘り下げるのは漫画だけじゃない! 漫画とファッションが交差するイベント
最後に紹介するのが“独自の切り口”の3つめ。漫画とファッションが交差するイベント「バックヤードパーティー」です。
記念すべき第1回は、11月3日(土・祝)に開催。「ファッションとマンガの交差点で何が起きているのか?」をテーマに、『日ペンの美子ちゃん』の作画や『邦キチ!映子さん』などで話題の漫画家・服部昇大さん、漫画研究者の岩下朋世さん、WHO’S WHO galleryディレクターの林優太さんによるトークセッションが行なわれます。
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漫画とのコレボレーションが活発になっているファッションの領域を、「漫画」「ファッション」「ストリートカルチャー」の視点から探るこのイベント。
漫画のなかのストリートファッションや、ファッションに進出する漫画、日本語ラップと漫画など、各領域で何が起きているのかに迫り、読むだけではない漫画の楽しみと、作品世界の広がりを知ることのできる内容です。
観覧は無料で、事前申し込み不要。トークセッションの前後には、5kageさんによるDJタイムもあるそうです。
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今回紹介したお店
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ベースヤードトーキョー2F バックヤード
・所在地:東京都渋谷区神宮前6-12-22【アクセス】
・営業時間:11:00~21:00(日曜のみ20:00まで) ※不定休
・Tel.03-3486-5127
・www.baseyard.tokyo
オープン記念イベント「バックヤードパーティーvol.1」
・日時:2018年11月3日(土・祝)
・時間:15:00開演予定
・入場無料、事前申し込み不要
※混雑状況によっては入場制限がかかる場合があります。
〈プログラム〉
・15:00~16:00 DJタイム
・16:00~18:00 トークセッション「ファッションとマンガの交差点で何が起きているのか?」
・18:00~19:00 DJタイム
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