4月、新たな元号が「令和」と発表され、新学期も始まりました。
3月期も書店店頭は売上好調。この勢いで“平成最後の月”を盛り上げていきましょう。
コミック・新書の好転、雑誌の復調と、いいニュースが続いた2018年度下半期(2018年10月~2019年3月)。「本・雑誌が最も売れた日はいつだったのか。最も売れなかったのはどんな日だったのか」という観点で、下半期を振り返ってみます。
2018年度上半期の分析はこちら
・2018年度上半期の「最も本が売れた日・売れなかった日」
やっぱり強かった12月、苦戦した2月
※記事中の画像はいずれも、クリックすると新規タブで開きます。
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上のグラフは、日本出版販売の日別POS売上データ(※オープンネットワークWIN対象店)から、期間内の平均値を出し、それぞれの日の平均値との開きを表したものです。
ざっと見ただけでも12月が他月を圧倒しており、一方で2月は苦戦したことが見て取れます。
実際に「平均値を超えた日数」と「超えなかった日数」をまとめてみると、下の表のようになりました。表には、月単位の平均比も記載しています。
ここからも、12月の圧倒的な強さが見えてきます。
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※平均比は、各月の売上と[期間内平均値×日数]を比較したもの。100%を超えていれば、月間としては“よく売れた”ということになります。
1月期についても、年始の休暇中は比較的好調だったのですが、その反動からか休暇が明けた頃から数字が落ちてしまっています。この傾向は2018年度上半期でも、ゴールデンウィークの期間に同様の動きが見られました。
出版業界全体として、長期休暇明けにリピーターの来店頻度を増やす工夫、来店客数を増やす工夫が必要です。
土曜日が圧倒、火曜日に停滞感
続いて、曜日別の平均売上を見てみましょう。
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土曜日がほかの曜日を圧倒。最も平均売上が低かったのは火曜日でした。
月曜日は祝日が期間内に4日間あり、その分を差し引くと平均売上がやや下がりますが、それでも火曜が最も低い結果となりました。
クリスマス後、年末ギリギリまでよく売れた!
それでは次に、「売上がよかった日」ベスト10がいつだったのか、その日に何が最も売れていたのかを見ていきましょう。
※最も売れたタイトルは「日販 オープンネットワークWIN」で調査。
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表を見てわかるように、ベスト10の9割を12月の土日・祝日が占有しています。
クリスマス需要で“売れる日”だろうと想像していた12月24日(月・祝)は第7位にとどまり、12月29日(土)が第4位にランクイン、翌30日(日)が第10位となりました。年末における駆け込み需要対応の重要性が見えたといえるでしょう。
クリスマスの繁忙が終わっても一息つくことなく、年末年始の売り場へ切り替えることが必要です。この時期はすでに注文品の対応もできないので、12月に入ったら計画的にストックアップ・在庫補充を行ないましょう。
また、それぞれの日に最も売れたタイトルはすべてコミックでした(定期雑誌は集計対象外)。キラーコンテンツが時期をずらして発売されたことで、多くのお客様を呼び込んだようです。
このなかで、今特に注目しておきたいのは『空母いぶき』。50~60代中心に非常によく売れている作品です。
5月24日(金)には実写映画が公開されるので、さらに盛り上がること間違いなし。3月25日(月)からは、第1巻~第3巻までをセットにした『空母いぶき』実写映画公開記念 SPECIALプライスパックも販売されています。
売上が悪かった日には、何があったのか
一方で売上が悪かった日、世の中では何が起こっていたのでしょうか?
朝日新聞(東京本社版)の夕刊1面トップ記事から、どんな日だったのかをさぐります。
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地震・水害・台風と大きな災害が続いた上半期に比べると、全国的な事件が少なかった下半期。ニュースから売れなかった理由を見つけるのは難しそうです。
猛暑日の落ち込みと同じく、寒い時期の1月・2月には数字の落ち込みが見られましたが、それほど顕著ではありません。
今こそ棚と在庫の精度向上を
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「1月・2月が苦戦した」とはいっても、店頭売上前年比調査ベースでは確実に好転の兆しが見えます。
コミック、新書、定期雑誌ジャンルが復調し、ライトユーザーが手に取りやすいタイトルに注目が集まったというのも一つの要因ですが、この好調を支えているのが何なのか、もう少し細かく見てみましょう。
3月期の売上実績を新刊・既刊に分け、それぞれの売上前年比を調査しました(※2月・3月に発売されたタイトルを「新刊」と定義)。
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新刊の売れ行きによってジャンルごとにバラつきはあるものの、全体として既刊のほうが前年を大きく上回っています。特に手帳を含む「総記」や文芸書を除いた書籍ジャンルではその傾向が顕著で、確実に棚の回転率がよくなっているといえそうです。
特に既刊の売上構成比が高いジャンルについては、書店店頭での徹底した品揃えが必要です。出版社側でも、既刊で売れ行きが好調な商品については恒常的にプロモーションし、品切れ期間を作らない重版計画が必要になるのではないでしょうか。
4月期も、例年では“好調期”にあたります。そしていよいよ、未曾有の大型連休もやってきます。連休の準備は4月中に行なって、5月に入ったら集客企画を繰り返し、客数を減少させない工夫が必要です。
業界挙げて工夫し、2019年度、スタートダッシュをかけたいものです。